幸せを約束する聖書の言葉

あなたが聖書のみ言葉に接するとき、心に満足と喜び平安が与えられます

母の感化

 母の思い出に、雨の降る日に一つの話を聞かせてくれたことを思い出します。それは芥川龍之介という作家の「蜘蛛の糸」というお話でした。



 その頃、私は小学5年生で無我夢中で遊ぶことに熱中していました。落ち着きのない私は学校でいつも先生に叱られてばかりいました。



 その雨の日、普段落ち着きのない私でしたが、静かに語る母の言葉が心に沁みるようでした。表面は落ち着きがなく、明るく、あちこち駈けずり回るようにして遊んでいる子供の心に、どこか深い所で何かを感じる場所があったのでしょう。



 母が私に語ってくれたその話を今でもはっきり覚えています。話の中で、特に悪いことばかりしていた人が、生前蜘蛛を助けたことで、仏さまのお慈悲で、地獄から一本の細い蜘蛛の糸によって助けられ、あと一息で極楽へ上るその時に下を見て、上ってくる大勢の人に向かって、上ってくるな、降りろと叫んだとたん、目の前で糸がプッツリと切れて、又地獄へと真っ逆さまに落ちて行った話は、子供心に何か言い知れない複雑な気持ちにさせたことを覚えています。



 母の話しを聞いて以来、私は本に関心を持ち、本を集めるようになりました。しかも、今まで読んでいたマンガや探偵物、冒険物ばかりでなく、難しそうな本も集めて大事に本棚に飾っておくようになりました。



 雨の降る日に、外に行けなくなった私を母が見て、何か話を聞かせてあげようと思ったかどうか分かりませんが、それが私にとって精神の目覚めと言える貴い経験となりました。



 今日、聖書を読み、本を読むことが仕事の一部となっています。本に関心を持つ最初のきっかけは、雨の日に母が私に語ってくれたことによるのです。